グッドイヤーウェルトの革靴が馴染むまでの期間と特徴
グッドイヤーウェルト製法は1870年代の米国で発明され、マッケイやセメントといった他の革靴の製法より複雑なので価格もそれなりに高くなっています。
しかし、履き方やお手入れの方法によっては最もコストパフォーマンスの良い製法の革靴となり得ます。
グッドイヤーウェルトの沈み込み
グッドイヤーウェルト製法は、アッパー(甲革)とソール(本底)の間にウェルト(細革)を挟み込んで縫い付ける複雑な製法であり、アッパーとソール部分を直接糸で縫い付けるマッケイ製法と違い、丸みを帯びた張り出しができる特徴があります。
靴を履くと足が包み込まれたように感じますが、インソールの中にコルクがたっぷりと敷き詰められているため、歩くたびにコルクが沈み、履いている人の足裏の形にインソールが馴染んでいきます。
履けば履くほど足に馴染む
グッドイヤーウェルト製法は、複雑な縫い方をしているため手触りが硬く感じられ、足を靴に入れた際も硬く感じることがあります。
しかし、複雑な縫い方をしているので耐久性が増し、さらに隙間なく作られた構造になっていることから防水性も良く、頑丈な造りとなっています。
この硬さから履き初めの頃は履き心地が硬く感じますが、半月から1ヵ月くらいの期間で革が馴染むようになり、履き心地が良くなっていきます。
履けば履くほど足に馴染むように革靴が変形して快適な履き心地になっていきます。
振り子になる最適な重さが特徴
アッパーとソールの間にウェルトを挟んでいることやインソールの中にコルクなども詰まっていること、さらには分厚いソールを使用することから、マッケイやセメントの製法で作られた革靴よりも重くなります。
しかし、程よい重さを持つことで左右の足を交互に進める際に、革靴が振り子の重りのような役割を果たし、足を自然と前へ前へと送り出すような安定感が得られます。
革靴を履いて長時間歩くと、疲れや痛みがでやすいものです。
ですが、振り子になる最適な重さという特徴から、グッドイヤーウェルト製法でできた革靴は他の革靴と比較して、長時間歩行に適していると言えます。
少しタイトな靴を買うと良い?
グッドイヤーウェルト製法は、アッパーとソールの間にウェルトを挟み込む製法であることから、革靴の前方部分に丸みを帯びた張り出しができます。
この張り出しをあまり目立たないようにしたいという方も多いのですが、革靴を選ぶときにあることに気を付けることで、この張り出しを控えめにすることができます。
ゆったりめなサイズの革靴だと馴染んでくるのと同時にゆったりしている部分の革が垂れてくるので、張り出しが目立ってしまいます。
少しタイトめな革靴を購入すれば、垂れ下がってくる革が少なくなるのでソールを交換するまでの期間は張り出しを気にする必要がなくなります。
おわりに
グッドイヤーウェルト製法で作られた革靴はその複雑な縫い方から頑丈に出来ていていることもあり、値段も安価とは言えません。
しかし、アッパー(甲革)のお手入れをきちんとしていれば、すり減ったソールを交換するだけで長い期間、履き続けることが可能です。
長期間でセメント式などの比較的安価な革靴より結果的にコストパフォーマンスの良い革靴といえるでしょう。